SFC琴坂氏インタビュー最終回「琴坂氏の原点」

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国や産業といった領域を超えて、どんどん活躍していくスタートアップ。その背景にある大きな時代の変化を慶應義塾大学総合政策学部の琴坂将広氏に、宮地・鈴木が聞いた。(以下、敬称略)

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Part4:琴坂氏の原点

鈴木:

個人的に伺いたいのだが、もともとベンチャー系のことをやっていらしたのに、どうしてこの分野(国際経営)のアカデミックへ行ったのか。

琴坂:

思い起こしてみると、 2つの要素があったように感じている。

慶應SFCで友人たちとニューロンという組織を運営していたあとに、学外のメンバーと2つ会社をしていたが、一定規模以上に成長させるイメージが全くわかなかった。 数十人が食べていくことができる状態であり、収入面での不安も不満もなかった。しかし、このまま事業を展開しても、数十億には成長しても、社会に貢献するような規模感と意義のある事業を作れるイメージが私には全く浮かばなかった。このまま小さな組織にすがって生きていくよりも、自分は修行するべきであろうと考え、転身を決意した。これがひとつ目の要素。

もうひとつは、海外に対する漠然とした憧れが捨てきれなかったということ。高校時代のときも海外留学したい、海外の大学に行きたいと思っていた。しかし、正直なところ、いきなり留学するには語学力も成績も全く足りなかったため (大学3年のTOEICスコアは550しかなかった)、かなり厳しかった。そうした状況下で道を探っていた時に、卒論を書くための調査でたまたまマッキンゼーという会社を知り、海外で活躍できる可能性や、留学の可能性を高く感じて、入社することとなった。

鈴木:

この分野(スタートアップのグローバル化)を研究領域として選ばれたのは自分の何かしらの問題意識や、この分野で勝てる、この分野なら他の研究者に負けないというのがあって選ばれたのか。

琴坂:

それは多少ある。戦略コンサルタントとして活動していた時も、ほとんど戦略のプロジェクトしかしておらず、また日本よりも、ドイツ、ノルウェー、フィンランド、イギリス、フランス 、ドバイ、カタール、シンガポール、香港、上海といった広い地域で現地の企業の経営課題に取り組むことが多かった。

こうした経験はおそらく研究に資するだろうと言う漠然とした思いはあった。それが経営研究の収支で学んだ理論体系と一つになり、国際経営という領域を選ぶことになったというのは事実だろう。

鈴木:

凄まじい数の人を見られてきたと思うのだが、若い学生向けというか、若い社会人も含めてだが、できる人とできない人の差は何か。抽象的で恐縮だが。

琴坂:

1年生にいつも見せているビデオに「やり抜く力」グリッドというものがあるが、基本的にはそれに尽きる。妥協せずに中途半端が嫌な人は基本的にはできる人。例外はいるが、それが一番のカギだろう。

鈴木:

”徹底的にやり抜く”ことが重要だ、と。

琴坂:

あとは、こだわりがある人。自分の例でいうと、長期戦略を持っているかということ。長期戦略に基づいた意思決定ができているかどうか。ここはこれをするべきだということを言えるかどうかということ。だから選択が近視眼的ではない。ここはこれをしなければいけないという意思決定ができるか。

鈴木:

キャリアを進めていくモチベーションはどこから湧いてきたのか。

琴坂:

おそらく、好奇心だろうと思う。知りたいという気持ちが誰よりもあり、知らないものに触れることがデキるように成長したいという気持ちでここまで来た。まだまだこの世界には自分が知らないことがたくさんあり、それを知りたいという気持ちが自分を動かしている。誰よりも、自分が選んでここまで来たという自負があり、これからも自分が選んで自分の道を決めていきたいという志がある。別にキャリアを進めようという感覚があったわけではなく、知りたいという気持ちが自分をドライブしてきた。これからもそれは死ぬまで変わらないだろう。

宮地・鈴木

ありがとうございました。

(終わり)

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琴坂将大氏プロフィール

慶應義塾大学環境情報学部卒業。在学時、小売・ITの領域において3社を起業、4年間にわたり経営に携わる。大学卒業後、2004年からマッキンゼー・アンド・カンパニーの東京およびフランクフルト支社に在籍。北欧、西欧、中東、アジアの9ヵ国で新規事業、経営戦略策定のプロジェクトに関わる。多様な事業領域における国際経営の知見を広め、世界60ヵ国・200都市以上を訪れた。2008年に同社退職後、英オックスフォード大学大学院経営学研究科に進学、2009年に優等修士号(経営研究)を取得。在籍中は、非常勤のコンサルティングに関わる。ヨットセーリングの大学代表に選出されるなど、研究・教育以外にも精力的に活動。2013年に博士号(経営学)を取得。立命館大学経営学部准教授を経て、慶應義塾大学総合政策学部准教授。近著に「領域を超える経営学

<鈴木の所感>やり抜く重要性と長期戦略を強調されていました。「とりあえずやってみる」が正しいとされますが、中途半端に終わらせては何も残りません。試行錯誤しながらもやり抜くことが重要と思います。長期戦略は学生だとなかなか難しいですが、考えているうちに徐々に長期的な戦略眼が身についてくると思います。

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